クリーニングデイ大会議 vol.10 レポート
(2024.02.25@オンライン)

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2014年に日本で立ち上げてから、10年となる今年。クリーニングデイ大会議も10回目となった。クリーニングデイの概要を説明しながら、初期の頃の写真を見ると、やはりそれなりに時間が経ったことを実感した。昨年2023年に開催されたクリーニングデイは、#18.5が34会場、#19(5月27日)が18会場、#19.5が11会場、#20(8月26日)が7会場、#20.5が30会場、#1から累計558会場(2024年2月25日現在)。昨年は富山で初開催され、未開催県がひとつ減った。そして事務局のある神奈川での開催数がついに三桁に突入した。

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コロナ禍からのイベント完全復活となった昨年は、久しぶりに2会場以上や2日間以上といった大きめの規模での開催が増え、地域の大型イベントへの参加、商業施設やユニークな空きスペースでの開催など多岐に渡った。プログラムとしては、本の交換会が引き続き人気が高く、アイテムを限定したアップサイクルなフリーマーケットも散見された。また、告知はされていないが、社内や同窓会といったクローズドな開催も例年より多かった。今回は、昨年のオープン開催会場のうち、9会場の開催報告となった。

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福岡で11回目の開催となった今回は、以前事務局に問い合わせがあった代理店と協働して、天神のショッピングエリアにて開催したクリーニングデイ福岡の古賀さん。クリーニングデイ福岡での人気プログラムである筑前津屋崎人形の絵付体験やコーヒーの新しい循環のかたちを語るトークイベントなどに加え、移動リフォーム「ミシン号」や北欧のヴィンテージ雑貨など新たな出店もあったそう。代理店の担当者がクリーニングデイ福岡の活動に共感して進められたことや古賀さん自身が代理店との仕事に慣れているということもあって、会場費などの負担がなく、スムーズに良い形で進められたと聞き、安心した。自分のペースで無理せず、趣旨をちゃんと伝えられるならば、こういった協働もアリとのこと。この10年、アップサイクル商品の販売イベントの話ばかり幾度となく代理店から持ちかけられて辟易してきたが、このように上手くいった例を参考に、今後も良い機会があれば、それぞれの地域の開催者につないでいきたいと思う。

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次は、最近は様子を見ながら長めに開催しているという岡山・玉島のIDEA R LAB大月さん。今回はマテリアル・ライブラリーにある様々な素材を使って行なうワークショップやワークショップの試作品のマーケットなどを開催。近隣の方々がお散歩がてらに参加したり、子どもが作ったものを楽しむ大人たちが集って、廃材を二重三重に楽しんでいる。クリーニングデイは廃材の実験の機会にもなっているとのことで、今回は「みんなのダンボールマン」とダンボールをシュレッダーで薄くしてみる実験をしたとか。次回はそれを着るものにしてみたりするそうです。楽しそう!

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次は、極寒ガレージでアートフェス参加中の事務局に来てくださったクリーニングデイ・マテリアルの薄井さん。今回はユニークな素材を使ったワークショップを色々開催されました。奈良から送って貰った靴下を作る際に出る輪っか状の端材で編みカゴづくり、ダンボール織機でのマスコットづくり、織り地ハギレでふくろうづくり、紙卵パックの張り子づくりやテント端材を使ったタグづくりなど。このエリアはモノづくりの作家さんが多いので、モノづくりから出る端材や素材を次の段階に昇華していくスタイルのクリーニングデイを、これからもみんなで集まって手を動かしながら続けていきたいと思っているそうです。

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続いて、事務局による鎌倉(かまくら長谷BASE)での開催報告。今回も5月は「食」をテーマにした「クリーニングデイEAT」を開催し、地元で余って廃棄されがちな夏みかんを使ったママレードづくり、保存食ベーコンづくり、スパイスの交換会、会場のクラブ活動でもある金継ぎ体験(こちらは8月も引き続き)を行いました。また「クリーニングデイEAT」がご近所のKAMOSUさんと始めた、廃棄されてしまう食材を地域で生かして循環させる「おいしい循環」プロジェクトの説明を。「EAT、やりたいです!」との反応をいただき、ぜひ各地域での循環をつくっていけるとよいと思います。

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次はクリーニングデイ横須賀の椎名さん。昨年は2回開催して、5月はフードドライブの回収箱を常設している無印良品さんにて、キッズの洋服交換会と文房具交換会を開催。8月は横須賀市立市民活動サポートセンターの「のたろんキッズデイ」に他の8市民団体共に参加した。これまで行ってきた花王のリサイクリエーションがおかえりブロックから詰め替えパックの水平リサイクルに進化(花王とライオンで協力してリサイクルを進めているとか。しかし詰め替えパックの洗浄に難ありで課題がまだある)し、アップサイクルの手作り体験会としてかまぼこ板アート(海で拾ったシーグラスなどを居酒屋等から提供してもらったかまぼこ板に並べていく)・チラシアート(切り抜いた画用紙にチラシや折り紙で切り絵風につくる)を行った。今はメンバー2人でやっているので小さな規模でしかできないが、8月は市が告知をしているので盛況だったとのこと。次回もワークショップの中身を変えつつ、同じ場で開催を予定しているそうです。

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事務局が代わって報告したのはシネコヤ(藤沢)にて12月に行ったクリスマス・グッズ限定のクリーニングデイ。事前に集めず、3週間にわたるイベント開催期間からスタートしたところ、持ってくる人も持って行く人も多くてモノが循環し、ストック置き場も要らず、オペレーションがしやすかった。メッセージカードを書いて貰うのに時間がかかってしまったので改善が必要だが、今年もぜひやりたいと思っているとのこと。クリスマス・グッズは置いてあるだけでワクワクするし、手放してよいモノを持っている人も結構いるというのが顕在化したので、ある程度の期間、常設できる場がある方には、クリスマス直前のクリーニングデイとしてオススメです。

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続いて、クリーニングデイ士幌の柴田さん。リサイクルショップのない人口5,900人の士幌町で、無料で不用品を預かり、100円で販売するという仕組みのクリーニングデイを開催している。今年は士幌で2回、帯広で1回開催。去年の大会議で、福岡の古賀さんから広告宣伝費の持ち出しが多いことに対するアドバイスを貰い、今年から町の「まちづくり推進事業」のサポートを得て、主要新聞等への広告宣伝費の一部が補助されるようになった。そのおかげでモノを出す人も買う人もかなり多くなったとか。イベント終了後にはちあファクトリーさんが引き取って海外に輸出をするので、全てきれいになるそう。町外から来る人も増えたので、1人で運営するにあたって気をつけているのは、前日準備に時間をかけないことと、事前引き取りをしないこと。ただし、社会福祉協議会の「あつまれ、もったいないもの!」の担当になったので、そこで預かったモノは管理してクリーニングデイに出している。また「エリーズ・コーヒー」という名で無料でコーヒーをふるまって、気軽に片付けの相談ができる場も設けるようになったとか(素晴らしい!)

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次は、昨年から既に17回開催している日本共産党大阪中央地区委員会西区、真ん中世代の寺田さんによる報告。クリーニングデイの理念であるリサイクルと地域交流が、自分たちがやりたかったことにあっていて、子供服を中心に始めてから本や日用品にも広がり、モノが循環する状態を作れている。やり方は士幌の柴田さんを参考にさせて貰って、全て100円で引き取り、売上は全てその時々の寄付に。今は毛糸や布、皮といった素材が集まるので、使える人に渡せるといいと思っているが現状いない(他の会場からヒキが!クリーニングデイ会場間での交換ができる仕組みよいかも)。素敵な手描きイラストポスターは主要メンバーやそのお子さんの手によるものとか(味があっていつも楽しみ!)。月1のクリーニングデイは、今や自分たちの生活に欠かせないものとなっていますが、一緒にできる人を増やしてアップサイクルをもっとしたいという希望もあるそうです。

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最後は、昨年より鎌倉・大船にて開催されている山内さん。自分がアップサイクルの作家活動をしている背景もあり、インスタでクリーニングデイを知って、住んでいるエリアに地球環境にやさしい活動に関心のある同世代のママさんたちが多いので、やってみることにした。フリーマーケット、エコラップづくりワークショップ、アップサイクルのワークショップ、アップサイクルしたドライフラワーや布ナプキンの販売などを実施。最後に子どもたちも含めてみんなで近所のゴミ拾いを行なって、気持ちよくイベントを終わらせているとか。ママさんの参加者が多いので、土曜よりも平日の方が参加しやすそうとのことで今後も平日開催で検討するそうです。

山内さんから「物々交換をされている方はどうやってモノを管理されているのか」という質問があり、物々交換を行なっているお二人に答えていただきました。「最初は家にも置いていたが、モノが増えて置けなくなってしまったので、実施会場で預かって貰ったり、何度回っても残ってしまうものは廃棄している。それでも使えるモノはうちに置いていることも。あとはリサイクルのWEショップに寄付で持って行ったりもする」と横須賀の椎名さん。「残ったモノの管理に労力がかかった(リサイクルショップ等に引き取って貰って、ダメなものはジモティーに無料で出す)ので、このままでは続けられないと思った。モノを出している側は残ったらどうするかまで考えてはいないので、引き取ったモノに関しては任せて貰うことを先ず確認している。廃棄になったらごめんなさい、も伝えてます」と士幌の柴田さん。確かに、運営側の問題として、モノに追い詰められると続けられなくなるので、残ってしまったときの宛先を用意しておくと安心できる。宛先に関する情報共有を今後していきたい。また、港区・芝の家のオバーンさんから、高齢者が多い地域なのでこれから残されたモノが大量に出てくる差し迫った問題の話をいただいた。この10年でモノの循環意識はかなり進んだと思うが、それでも圧倒的にモノの供給量の方が多いので、追いつかない。その場でアイディアが出なかったが、考えていきたいテーマだ。芝の家では昨年防災食のクリーニングデイが開催されたが、防災食の入れ替えというだけでなく、大学生ボランティアと色んな地域の事情を踏まえた知恵の交換ができたのも良かったそう。そうやって色んな世代でアイディアを交換できる場をつくることも、こういった大きな問題に向き合うときに必要なことかもしれない。福岡の古賀さんからは、行政の補助金などを調べてみることの提案があり、色々面倒はあるものの、行政と一緒にやっているという見え方や活動を継続していくために自分の持ち出しをなくしていく(手伝ってくれるスタッフもボランティアではなくお金を払えるように)ことも大事と、開催を不安に思っていらっしゃる方のフォローとなる話をしていただき、ありがたく締めることができました。
今回も開催者の皆さまが色々葛藤もありながらもそれぞれのスタイルでクリーニングデイを続けていること、そしていつもこの場で率直なアドバイスをしてくださって、10年の間に本当に誇れるコミュニティになったことに、ただただ感動しました。10年になる今年は、特別なことをしない「クリーニングデイ、エブリディ」の日常を維持していくことを大切にしていきますが、規模を大きくすることよりも、クリーニングデイを楽しく続けていくためにできることにチャレンジしたり、改めて見直したり、したいと思います。今年もしつこく言い続けますが(笑)「無理なく、楽しく、自分のペースで」クリーニングデイを楽しんでいきましょう。ご報告いただいた開催者の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
8mtg

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