クリーニングデイ大会議 vol.11 レポート
(2025.02.22@オンライン&うさぎ屋)

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今回が11回目となったクリーニングデイ大会議。クリーニングデイ・マテリアル開催中のうさぎ屋さんからのハイブリッド開催。いつものようにクリーニングデイの概要説明から開始した。日本で10周年を迎えた昨年、フィンランドのクリーニングデイが突然の終結宣言をしたことを改めてお知らせ。日本では彼らのスピリットを受け継いでこのまま続けていくことを説明した。昨年2024年に開催されたクリーニングデイは、#20.5が45会場、#21(5月25日)が12会場、#21.5が12会場、#22(8月24日)が3会場、#22.5が37会場、#1から累計637会場(2025年2月22日現在)。単純計算で年間60会場弱、週1回強の開催ペースだ。未開催県は秋田・山形・新潟の東北3県、滋賀、香川・高知の四国2県、宮崎・長崎・鹿児島の九州3県の計9県。未開催県は少しずつ減ってはいるので、今年もどこかで始まりますように🙏

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コロナ禍前の水準に戻ったと言える昨年から今年2月にかけて、新しく開催されたのは15会場。毎月定期開催の会場も現れたが、お試し的な小さい規模やイベントの一部のプログラムとして本の交換会の実施が目立った。今回はその中から、事務局代読の3会場を含めた13会場の主催者に、開催順にご報告いただいた。

shiba
先ずは、東京・港区にある芝の家のオバーンさんより「芝のはらっぱ」にての実施報告から。アップサイクルやクリーニングデイがなかなか伝わりにくいという中、ただのフリマにしたくないという気持ちで継続している。今回は自分たちも疲れないように、ひと箱を持ち寄った形の小さなフリマを4/29に開催。芝のはらっぱを知ってもらいたいというのと、地域の手しごとの活動を知ってほしいという気持ちから開催し、小学1年生から続けていて今年3年生になり成長したこども店長から大人の遺品整理まで、様々な世代が楽しめる場となった。芝のはらっぱにて育てているハーブやお引っ越しされたご近所さんからの緑のお裾分けも好評だった。

minato
事務局が代読した兵庫・豊岡のクリーニングデイ・ミナトは、年2回開催を目標に活動していて、昨年は開催者の事情から単独開催ではなく、合同企画を持ちかける形で5月と10月に2回開催。10月はお近くのクリーニングデイ丹後さんに打診したとのことで、行動力が素晴らしい!と感心した。いつも一緒に活動しているミナトのメンバーにとっても気づきが多かったようで、他のクリーニングデイのフリマのやり方を知ることで、自分たちが大事にしているクリーニングデイが何かも見えてきたというイイ話も伺うことができた。

hino
次はクリーニングデイひのを開催している日野社会教育センターの山本さん。6年前まで開催していたバザーをやめたものの、地域のニーズや文化としてバザーが根づいていたことを実感し、地域でモノをどうやって循環させていくかを改めて考えた。その後、クリーニングデイを知り、地域の手づくり作家さんグループとのコラボで「モノを大切にする、大好きなモノと出会う」をコンセプトとして「クリーニングデイひの」を始めた。フリマだけでなく手づくりのワークショップも行ない、クリーニングデイの前には館内にプレオープンスペースを設けて、タグも配布してモノのストーリーを楽しむ意識を広げている。昨年実際にフィンランドのクリーニングデイに行ってみて、質の良いモノが出ていて気持ちの良い循環がなされていること、暮らしの中にリサイクル・アップサイクルが溶け込んでいること、空間を楽しんでいること、ゆるさの中に秩序が保たれた自己責任を実感した。これからも、ゆるさを大切に、変化を面白がって地域の方々とつながりながら続けていければと思っている。

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次は、事務局代読の岡山・玉島のIDEA R LABさんによるCleaning Day Tamashima。#2から開催を続けている玉島でのクリーニングデイは、1週間開催や大学の授業連携、ご近所の回遊式など色々なタイプで行われてきましたが、今回はご近所さんがのんびりやってくる、ゆるゆるな開催だったそう。プログラムとしてはTシャツを使ったトートバック、フェルトのボタンかざり、ソックスでつくるベルトのWSの他、廃材カードゲーム、フリマ、LAB GARDENの果物やハーブのお裾分けも人気だったとのこと。夜は鎌倉とつないで一緒に祝・10周年の乾杯も。

hayama
続いても事務局が代読した神奈川・葉山アトリエウロンさんの「クリーニングデイにアップサイクルアート!」(当日の様子)。子どもたちが自由に造形を楽しむことができるオープンハウスなアトリエにはいつも廃材がたくさん集まっているが、今回は地元の老舗履物店げんべいさん提供のビーチサンダルをアートにする企画にタイミング良く参加。いつもない廃材に子どもたちのクリエイティビティが刺激されたようで、たくさんの見たことがない価値あるものが生まれたそう。

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次は、現在会場で開催中でもあるクリーニングデイ・マテリアルの薄井さん。作家さんが使っていた道具や作品づくりから出た端材を使ったワークショップや素材市を開催。今回も紙たまごパックの張り子づくり、牛乳パックで作ったヨーヨー、オールド調にしたツナ缶を使った多肉植物の寄せ植え、奈良の靴下組合から送って貰った端材での編みカゴづくりなどのワークショップを実施した。ご近所の福祉作業所アートのセレクトショップのグジェゴジェ9さんを通じて頂いた素材を販売し、その売上を地元の就労支援NPOさんわーくかぐやさんに寄付するようになった。わたしたちが住むエリアは個人でモノづくりや発信をしている方が多いので、異なるコンセプトの活動とも繋がっていければと。素材市をやってわかるのは、自分は要らなくなって出したものが、ネットでも買えないし手芸店はなくなっていくので益々買えなくなった小さな端切れや1メートルの糸が欲しい人に継がれていくこと。その人にはとても喜ばれるし、素材にまた次の人生を与えられたことがこちらも嬉しい。会話をしながらやりとりできるのがクリーニングデイの大切なところだと思っている。

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続いて、事務局による鎌倉(かまくら長谷BASE)での開催報告。今回も5月は「食」をテーマにした「クリーニングデイEAT」を開催。恒例の実りすぎた夏みかん(昨年は先程マテリアルさんの報告にあった、さんわーくかぐやさんに収穫のお手伝いをしていただき、地元での循環をひとつ見出した)を使ったママレードづくりと保存食ベーコンづくりの他に、今回は初めて包丁研ぎのワークショップも実施し、自分の道具を大事にすることを実感する良い機会となった。8月は玉ねぎ染めのワークショップと黒染め友の会の受付を実施。猛暑が続くこともあって、8月はゆるめに開催している。

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次は京都・綾部の芦田さんより。2018年から春と秋の年2回のペースで開催している「クリーニングデイあやべ」は、芦田さんの店舗チャープ駐車場と同日開催の近隣会場をフィンランド方式で回遊できるようにしている。クリーニングデイに興味がある方には、クリーニングデイファイルを見せている(全てがまとまっていて、すごい!)。クリーニングデイ・ミナトさんもクリーニングデイ丹後さんもこのファイルと共に話を聞いて、クリーニングデイを知るきっかけとなり、独自で開催するようになったとのこと(芦田さんの伝播力がすごい!)。クリーニングデイのきっかけは、2017年にフィンランドのクリーニングデイに参加したこと。自分でもやれるのか!と地元の人たちと先ずは小さく始めた。クリーニングデイに興味がある人にはフィンランドで感じたワクワク体験を伝えたり、持続可能な暮らし方の発信や地域を盛り上げたいと思っている人も、フリマにこだわらなくても普段の活動の延長線上でできるのでは、と思って話している。(モノの循環には)メルカリや買取業者の利用もアリだし、クリーニングデイもその多様な選択肢のひとつとして、生活に馴染んでいったらいいというイメージを伝えている。クリーニングデイに参加したいというところが大きいので、言い出しっぺのスタンスでできるだけ無理はしないように、みんなでミーティングやチラシのデザイン依頼などもしない。そんなに浸透しているか、宣伝できているかもわからないが、「やっている人たちが楽しかったらそこに集まってくる人がいるのでは」は確信に近いものがある。不要品の持ち寄り販売のフリマを店舗やお家の前などで開催し、会場によってはワークショップも。「モノと対話する日」というサブタイトルをつけているが、実際にクリーニングデイに合わせて片付けをしてモノと向き合うようになったり、メッセージカードを書くことでそれを実感している。

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続いて、「婦人之友」愛読者の団体・全国友の会のひとつ、東京第一友の会が婦人之友社の若い女子たちと一緒に行ったクリーニングデイのご報告を再びオバーンさんから。「豊島の夏の1日」企画に合わせて、本がある居場所になるように「本と想いの交換会」を小さな規模で行なったところ、わりと親子が来てくれて、涼んでお茶を飲みながら楽しんでくれた。真ん中に置いたダンボールハウスで和んだり、本があるだけで豊かな場所になった。余計なことを何もしなくてよかったのがとても良かった。本は友社の方々が提供してくれた。次回は3/29、お向かいの自由学園明日館の桜のお花見もできるタイミングで開催を予定している。

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次は佐賀・基山の「クリーニングデイ佐賀」のご報告を大字基山の江藤さんより。毎年8月に会場である基山町立図書館と大字基山の共催で開催。図書館内で本の交換会(一人1冊持ってきて、1冊持って帰る方式)と隣の中央公園でアップサイクル・マーケットを実施している。今年で7回目となり、毎年やっているとマンネリ化することもあるので、昨年は輪島漆器義援金プロジェクト(被災ごみになってしまう輪島漆器を販売代行して売上を義援金に。10万円以上の寄付につながった)をやってみた。アップサイクル・マーケットには色んなお店が並ぶが、高校生がやっている文房具とおもちゃの交換会もあり、最初に始めた高3から次世代への引き継ぎもできたとか。図書館内の交換会は大人の本も子供の本も一緒に並べていて、本とメッセージカードで本を通じた交流ができている。毎月やってほしいと言われる好評なイベントだが、1年に1回のお祭りとしての開催がちょうど良いペース(開催時の図書館来場者は約1,000名。通常より多く、イベントの効果あり)。マーケット出店には出店料を貰っていて、経費にまわしている(赤字にならないようにするのは継続においてとても大事!)。みんなでストレスなく、毎年同じようにやっていることで、知名度が上がってきている。リピーターも増えてきて、続ける尊さを感じている。基山方式の本の交換会は、しれっと来て帰れる本好きでない人でも参加しやすく、クリーニングデイ内でも定着している。

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続いてこちらからご報告いただくのは、神奈川・大磯で開催された「うつわのクリーニングデイ」について西村さんより。開催会場は日本初の海水浴場と言われる大磯の古民家・祷龍館で、地元の人たちと様々なプロジェクトを実施中。毎年10月に大磯町で開催される「大磯うつわの日」に、器の交換会「うつわのクリーニングデイ」として参加し、一昨年に続いて2回目の開催となった。器好きが各地からやってくる大きなイベントで、地図を持って回遊するので、集客に困らないのがいいところ。交換の方法は基山方式の本の交換会と似ていて、器を持ってきて貰ったときにメッセージを書いてもらい、持っていくときにも書いてもらう。その二つが合わさって完成として、貼り出している(インスタにもアップしている)。たまに持ってきた人と持って行く人が会うタイミングがあって、記念撮影することも。そんなときには、器を通したコミュニケーションが生まれていた。2回やってみて、売れない器の在庫が溜まってきているので、それをどうするかが課題。今年は大磯でブックマルシェが春にあるので、本のクリーニングデイをやることも検討中。

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続いて、開催直前に大雪に見舞われ「災害でしたね」と語る北海道のクリーニングデイ士幌・柴田さん。そのため、いつもの半分までにはならないくらいの来場となり、それでも結果たくさん来てくれてありがたかった。整理収納アドバイザーとして不要品を無料で引き取って100円で販売し、必要な人に渡していくという形のクリーニングデイを開催して今回で16回目。最近、前日に引き取りだけして持ってきた人に並べて貰うことを始めた。自分達の労力を減らすこともあるけど、一緒に並べながらモノのエピソードが聞けることがいちばん大事。次の日の販売時にそのエピソードを話すことができる。段々規模が大きくなり、当日は販売で揉みくちゃにされて話を聞くことができなくなってしまって、それだと私が思っているクリーニングデイではなくなってきてしまった。片付けの促進のためにやっているのに、モノを手放す人の気持ちに寄り添うことができなくなった。この前日の引き取りはとても良く、自分の気持ちも余裕があるし、ゆっくり話を聞くことができたので、これからも続けていくつもり。広告・宣伝としては士幌エリアの新聞にチラシを入れていて経費がかかるが、町から少し補助が出たり、当日や他での売上で賄っている。売れ残ったモノはちあファクトリーさんに全て引き取ってもらい、在庫をしないのを徹底している。今回鉢植えを引き取ったのがどこにも引き取ってもらえず失敗だったが、最終的に残ったゴミは紙袋一袋分だけになった。最近、士幌商工会からの紹介で、100年やっていた商店の在庫をどうにかしてほしいという相談があり、5月にこの店で在庫販売ともったいない市を初めてやることにしている。社会福祉協議会の依頼で不要品の引き取りもするようになり、クリーニングデイ、リサイクルショップ、メルカリ、ジモティーなどを使って限りなくゼロにするのが自分にしかできないので、頼まれることが増えてきた。

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大トリは、現在絶賛開催中の日本共産党大阪中央地区委員会西区、真ん中世代の寺田さん。毎月定例開催をしているので、クリーニングデイは自分たちの生活の一部になっている。30-40代メンバーでやっていて、子供服を循環させたいというのをメインにしているので、お子さん連れでいらっしゃる方が多い。子どもの成長もみんなで見守っていて、本当に地域交流の場になっている。売上は今は能登への寄付にもまわしている。自分たちにとっては事務所を活用できることもいいところ。事務所が広いので、ずっと残っている在庫もいつか売れるときまで預かっている。士幌方式の無料で引き取り100円で販売方法は持続的な活動につながっている。素材を持ってくる人も多いので、アップサイクルなワークショップもやりたいところだが、子どもがたくさんいてわちゃわちゃしており、まだ実現できていない。

今回は報告数が多く終了予定時刻をオーバーしてしまい、他の参加者の方々にお話を聞いたり質問して貰う時間がなく、相変わらずのゆるい仕切りで申し訳なかったです💦皆さまのご報告を聞いて、いちばん印象に残ったのは「私のクリーニングデイ」という言葉。自分がどうしてクリーニングデイをやっているのか、それぞれ考えを持っていらして、それと向き合いながら続けているというお話が多くありました。それはまさにセルフオーガナイズの賜物で、フィンランドのクリーニングデイが終わってしまっても続けていける所以だなと思いました。そして、クリーニングデイ・マテリアルの薄井さんが仰っていたように、セルフオーガナイズの次の段階としてクリーニングデイ同士がモノでつながれないかということも、こうやって毎年大会議で報告しあえるコミュニティになっているからこそ、あるべきものです。このことはここ数年、大会議で話題にのぼっていて、フリマで預かった在庫の処理問題としてだけでなく、他の地域にいる次に必要な人にクリーニングデイを介して渡せればということなので、なかなかソリューションが見えないものの、ずっと模索していきたいテーマです。開催者の手間と送料などの負担を出来るだけ少なく、情報を共有して活用できるシステムを実現させたいですね。良きアイディアがありましたらぜひお知らせください!いつもながら、大会議ではそれぞれの地域性を活かしたアイディアと実施した実感から生まれる知恵、活動の仲間や参加してくださった方とのコミュニケーションの豊かさに触れることができて、楽しく幸せな時間でした。これからも、また「無理なく、楽しく、自分のペースで」クリーニングデイを続けていければと思います。ご報告いただいた開催者の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
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