クリーニングデイ大会議 vol.9 レポート
(2023.02.26@クリーニングデイ・オンライン)

オンライン開催も3年目となった第9回クリーニングデイ大会議。事務局の告知が遅かったこともあって、昨年に比べて報告者が少なかったが、クリーニングデイに興味があったり、これから開催を検討されている方の参加がいつもより多かったので、クリーニングデイ自体の説明に例年より時間をとった。昨年開催されたクリーニングデイは、#16.5が24会場、#17(5月28日)が10会場、#17.5が7会場、#18(8月27日)が7会場、#18.5が24会場、#1から累計482会場(2023年2月26日現在)。
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昨年はオンライン開催が少しずつ減り、リアル開催、それも初開催の会場が増えた。大きい規模での開催はなかったが、オープンハウスのような小さい規模での新たな形が生まれてきたのが昨年の特徴のひとつ。今回は回を重ねて進化を遂げている会場や昨年から始めた会場など、7会場の主催者の方々に開催順にご報告をお願いした。

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先ずは事務局による鎌倉(かまくら長谷BASE)での#17開催。今回は「食」をテーマに、地元でたくさん実るものの、酸っぱくてそのまま食べ切れなくて廃棄されがちな夏みかんをレスキューしてママレード等を作る「おいしい循環プロジェクト」とフードロスを減らす保存食としてのベーコンづくりの2本立て。ママレード作りの合間に、地の利を生かして鎌倉観光に出かけられる観光客向けプランにもなった。このように余って廃棄されてしまう食材を地域で生かす、循環させる試みが、他の地域の他の食材でも広がっていくように、これからも発信を続けていく。

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次はアートフェス参加中に報告して下さったクリーニングデイ・マテリアルの薄井さん。久しぶりの蔵まえギャラリーでのリアル開催となった#17クリーニングデイ。手芸の作家さんや福祉作業所での手仕事から出た端材を販売する素材市や端材を使ったワークショップ、靴下を作る際に出る輪っか状の端材を広島の靴下団体さんから送って貰って、カゴづくりのワークショップなどを実施。今年も5月に同じような形で、8月は子供向けのプログラムで実施予定。

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続いてクリーニングデイ福岡の古賀さん。コロナ中は2年お休みして、前回の9回目と10回目(#17)は広めの会場を使用して開催。10回目はコーヒー屋さんと文具メーカーさんのガレージの2会場で、それぞれにレギュラーメンバーの10組の方々と開催した。津屋崎人形さんによる販売出来ないB級訳あり品を使った絵付、ブリッジ熊本さんによる「震災を忘れない」ためのブルーシートを使ったアイテム販売やワークショップ、版を使うのでリサイクル率が高い活版印刷を子どもたちに知ってもらうワークショップ、マヌコーヒーさんの肥料化や農業体験に関するトークイベント(コーヒー豆のかすはそのまま土に撒くと植物の成長を阻害する因子があり、取り除いて肥料化する必要があるという驚きの話!)などを実施した。次回は3月に開催予定。

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次はクリーニングデイ横須賀の椎名さん。昨年は2回開催。5月はフードドライブの回収箱を常設している無印良品さんとの物々交換会に文房交換会も加えて、クリーニングデイとしては初実施。8月は一昨年コロナ禍で中止になった横須賀市立市民活動サポートセンターの「のたろんキッズデイ」に他の市民団体共に参加。シャンプー・リンスの詰め替えパックを回収してブロックにアップサイクルする花王のリサイクリエーションのブロックの展示、飲食店に提供して貰ったコルクやかまぼこ板、建築士協会から貰った木端等を使ったサインボードづくりや牛乳パックを使ったお財布づくりのワークショップなどを実施した。これまで横須賀の色々な会場で実施してきたが、子どもが小さいうちはボランティアで一緒に活動できるメンバーが集まりやすかったが、大きくなるにつれてメンバーの参加が難しくなった。これまでのように大きいイベントをやると疲れてしまうので、無理せず、自分たちのサイズで細く長く続けていけるように、と思っているのこと。

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続いて、クリーニングデイ士幌の柴田さん。整理収納アドバイザーである柴田さんは、リサイクルショップのない士幌町で、モノを片付ける=手放す人にスポットを当てて無料で預かり、100円で販売するという仕組みの「もったいない市」を開催している。前回の会議以降4回開催、帯広にも出張開催した。預かったモノで残ったものは帯広のちあファクトリーに引き取って貰って輸出をしたり、リサイクルショップやフリマアプリで売り切るようにしている。クリーニングデイを通して地域に溶け込んでいきたい(愛されたい)ので、応援してくれていた社会福祉協議会にアプローチして、地域にある「いきいきふれあいサロン」に足を運び、もったいない市のPRをさせて貰っている。それによって、サロンごとにもったいない市に参加してもらえるようになった。告知方法は折り込みチラシ、山の方に住んでいる人にも届くようにしている。前日は机を並べるだけで、準備はほぼ当日のみ(整理収納アドバイザーのスタッフが付き添って、出品者と一緒にモノを並べる。この時間にモノのエピソードなどを聞いて、出す人の心の一区切りとなっているよう。モノを選ぶ人とのコミュニケーションが生まれることも)で、開催者が無理をしないで済むような仕組みに段々となっていった。

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昨年の初開催から既にかなり回を重ねている日本共産党大阪中央地区委員会西区、真ん中世代の寺田さん。事務所でフリマをする話が出てきたときに、事務局が取材を受けた日本共産党の女性雑誌「女性のひろば」でクリーニングデイを知り、子供服をメインにモノを集めてやってみようということになった。新聞の折り込みなどで告知をしたが、これまで事務所に来たことがなかった近所の人たちから想定以上にたくさんのモノが集まった。内容はクリーニングデイ士幌の柴田さんのやり方を参考に全て100円で販売し、売上は寄付にまわしている。回を重ねることに交流する人が増えて、クリーニンググデイの趣旨である「リサイクルのハードルを下げる」「地域交流」が自分たちのやりたいことにつながっていることを実感している。9月から第4土曜日と決めて毎月開催しており、定期的な開催を楽しみにしてくれる人も多いので、これからもこのペースで続けていく予定。

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続いて、東京・港区の「芝のはらっぱ」での開催報告をオバーンさんから。芝の家の跡地に新たにできたはらっぱで毎月開催を目指し、最初は昨年5月、近所に住んでいる有志がモノを持ち寄ってフリマを開催。参加者それぞれに運営をして貰い、開催者の運営負担を減らした。何が売れるかわからないまま持ってきて貰ったが、欲しい人にちゃんと渡ったときにはとても喜ばれた。売上の一部をはらっぱに寄付したので、はらっぱの他のメンバーも興味を持ってくれるようになった。6月は地域でフリマ会場がなくなってしまった方や近所の方から集まったモノの無人フリマ、子ども店長のフリマ(売上から寄付してくれた!)などを開催。7月はひと箱〇〇市をやろうと思っていたが、雨で開催できず。その後は開催できなかったが、手づくりのことができないか、フリマからどう抜け出すかが今後の課題。北欧に興味がある人たちがまわりに出てきたので、次回はその人たちと一緒に企画していく予定。

ここからは、事務局が預かった5会場(浦安、葉山、豊岡、和歌山、熊本)の開催報告を駆け足でご紹介。クリーニングデイうらやすさん以外は初開催の会場ばかり。葉山と豊岡のような自宅を開放したオープンハウスのクリーニングデイは昨年からの新しい形だ。
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クリーニングデイ当日の動画 minato
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クリーニングデイ当日の動画

情報交換として、クリーニングデイ福岡の古賀さんから、大きい会場を使用するにあたって補助金を申請したという話が共有された。「昨年は場所代と人件費を捻出するために、福岡市環境課の補助金を申請した。継続的な環境活動をしている団体に対してだけでなく、単体のイベントに対しての補助もあった。広報物の制作費なども適用されるので、自治体で活用できる補助金を確認するのもオススメです」とのこと。また、5月に千葉の館山にて開催予定の佐原さんにも、計画中のクリーニングデイについての話を伺った。
次回#19開催で、2014年から始めたクリーニングデイ・ジャパンも10年目を迎える。立ち上げた時にはこんなに続くと思わず、ここ3年弱のコロナ禍においても消滅することなく継続できているのも、紛れもなく開催者の方々の熱意によるもの。熱意といっても、「ご無理なく」と事務局がしつこく言い続けていることがクリーニングデイの文化となったのか、決して熱すぎない、ちょうど良い温度の熱意であることがポイント。毎年こうやって大会議で、その時の自分にとってのちょうど良さを見つけるためのアイディアや分析、行動力にあふれた報告を開催者の方々から伺うとそれをひしひしと感じる。そして、自分が見つけ出したことを惜しむことなく共有して頂いていることが、次の新たなクリーニングデイにつながっていることも毎年証明されている。これこそが10年にわたるクリーニングデイの持続性を支えている。今年も「無理なく、楽しく、自分のペースで」クリーニングデイを楽しんでいきましょう。ご報告いただいた各会場主催者の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
8mtg

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