クリーニングデイ大会議 vol.8 レポート
(2022.02.27@クリーニングデイ・オンライン)

昨年に続き、オンラインのみの開催となった第8回クリーニングデイ大会議。昨年開催されたクリーニングデイは、#14.5が8会場、#15(5月29日)が7会場、#15.5が7会場、#16(8月28日)が2会場、#16.5が16会場。
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各地で発令された緊急事態宣言を受けて中止や延期も相次ぎましたが、昨年よりは復調の兆しが見えています。今回はその中から11会場の開催者の方々に、北から順にご報告をいただきました。
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トップバッターはクリーニングデイ士幌(北海道)の柴田さん。整理収納アドバイザーの柴田さんは、リサイクルショップがなく片付けたら捨てるしかない士幌町で、1日リサイクルショップになろうと、昨年は2回「もったいない市」としてクリーニングデイを開催(8月は自粛期間で中止)。ずっと福祉に入っていきたいと思っていたところ、社会福祉協議会が目をつけてくれて、お年寄りたちが地域ごとに集まるサロンに呼ばれることに。そこでクリーニングデイの説明をして、その日に合わせて片付けて不用品を会場に持ってきて貰い、開催6回目にしてようやくやりたかったことが形になったとのこと。いつも素敵な手描きチラシを町の新聞折り込みに入れたところ、効果があったそうです。

ashoro
次は、昨年から始めて2回開催した足寄町(北海道)の儀間さん。ものづくりの人たちなどが集まるコミュニティスペース(はたらくものづくり村)にて、1回目は士幌町のクリーニングデイを参考に全品100円を取り入れたTシャツと食器のフリマ、葬儀屋さんで使用済みのろうそくを使ったアロマワックスバーづくりWS、チーズ工房で捨てられることの多いホエイ水を使った(生地がふわふわする)クレープや狩猟後に処理される鹿肉を使ったカレー提供などを実施。2回目は麦わらのヒンメリづくり、メッセージつきの本の交換会、持ち帰り容器持参の鹿肉グリーンカレー提供などを行なった。1回目のクリーニングデイ後に古道具屋をオープン。茶箱など古い木箱などを販売されているそうです。

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次も昨年初めて開催した東京・足立区ナナシノ商店街の阿部さん。商店主の横のつながりから生まれたナナシノ商店街さんは、元々それぞれのお店の廃材(園芸店のブルーシート、コーヒー屋のコーヒー袋、パン屋の小麦粉の袋など)を使ったローカルバックを販売し、アップサイクルな活動をされていたとのこと。5月に開催したクリーニングデイでは店主の持ち物にメッセージ入りタグをつけたフリマ、廃棄野菜でのジャムやお菓子販売などをそれぞれのお店で行なった。今年も5月に、よりアップサイクルを街のお客さんに伝えられるような形で開催予定だそうです。

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続いて、これまで2回、東京・港区の芝の家で開催してきたオバーンさん。昨年12月、以前の芝の家の跡地に出来た「芝のはらっぱ」にて初めて開催。5店ほどの方にフリーマーケットに出店して貰ったとこと、モノを通じて地域の交流が生まれた。これまで地域のお祭りや芝の家でやってきた、植栽の種等の緑の交換会や集まった素材を使った小さな工作会(クリアフォルダで昆虫づくりなど)、ご自由にボックス、子どもたちによる駄菓子店など、今後につながる新たな種は色々と見受けられるので、クリーニングデイを地域の人たちが集える場のきっかけとしていきたいそうです。

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東京から千葉へ移り、クリーニングデイうらやす(浦安)の竹内さん。5月に、昨年の大会議での佐賀のご報告を参考にした本の交換会とフリーマーケットを開催。フリマはメッセージつきのタグをしっかりつけて、いいモノには多少金額を高くして大事に次の人に渡っていくように工夫した。廃校になった学校に入っているシェアアトリエ・手の舎さんで開催したことで、そこで活動している作家さんたちとも協働するようになったとのこと。クリーニングデイ以外にも定期的に本の交換会を開催することで認知を上げていくこともされているそうです。

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続いて大会議の常連さんでもある、クリーニングデイ横須賀(神奈川)の椎名さん。横須賀ではこれまで9回開催。昨年5月には、シャンプー・リンスの詰め替えパックを回収してブロックにアップサイクルする花王のリサイクリエーションのブロックの展示、チラシを貼り絵にする子ども向けWS、飲食店に提供して貰ったかまぼこ板やコルク、木端等を使ったWS、フリマや物々交換会などを行なった。8月は横須賀市立市民活動サポートセンターでの開催を予定していたが、コロナ禍の自粛につき中止。今年は常設展開している無印良品さんとの物々交換会とフードドライブの取り組みを、5月のクリーニングデイでも行おうと交渉予定。無印良品さんはクリーニングデイとの相性がよく、スタッフの方も協力的なので、コラボ先としてオススメ!とのことです。

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バーンと南へ飛んで、クリーニングデイ大丹波(京都・兵庫)の小林さん。昨年は5月から6月に延期して、丹波市市民プラザにて開催。昨年の大会議での佐賀のご報告を参考にして行なったメッセージつきの本の交換会が「そこにいないのに会話しているみたい」と好評、男性の参加者も多かったとのこと。この時に冷蔵庫に眠っている保冷剤にアロマオイルと色をつけた消臭剤づくりのWS、丹波市の製紙会社に提供して貰った端材やアクセサリー作家さん提供のパーツや不用になったリボンを使ってのブックマーカーづくりという本にまつわるWSも実施。秋には丹波の同じ会場で行われた市民大交流会の中で開催した。レザーのカバンを作っている会社から皮の端材を提供して貰ってブレスレットをつくるWSを行なった。また、京都・綾部では5月と10月にチャープさんというカフェでフリマを開催。綾部では3ヶ所を回遊できる形で開催しており、子ども店長のフリマや図種館(種を取って育てて、種が出来たら戻す)などを取り組まれているそうです。

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次は大阪・大東市にある商業施設Keittoを運営されているノースオブジェクトの牟田神さん。昨年11月に「北欧好きのためのフリーマーケット」として開催。社内外から18名の方に提供していただき300点以上の商品が集まり、委託販売した。初めてのことでどうなるかと思ったが、結果として良いモノが集まり、アップサイクルというテーマのもとに欲しい人にちゃんと渡っていったのを実感できたとのこと。当日は「もりねきマーケット」の一部として開催し、裂き糸を織るワークショップも実施。運営に負担がかかりすぎる反省点があったので、今年の5月は委託販売だけでなく、無理のないやり方で実施予定とのことです。

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クリーニングデイ・ジャパンの立ち上げ当初からお世話になっているIDEA R LAB(岡山・玉島)の大月さん。昨年はコロナ禍でやめようと思っていたが、引越しをするのに子どものモノがたくさんあって困っている方がいて、それならクリーニングデイをやりましょう!ということで、子ども(子どもの心を持った大人も)のためのクリーニングデイとして開催。子ども自身が自分のモノについて話しながら販売したり、子育てのそれぞれの段階で必要なモノやかわいいモノ、子ども向けの本がたくさん集まったフリマ、ボタンのつけ直し・つけ方を習うWS、眠っていた手編み・機械編みのセーターやバッグの販売を実施した。素敵なマッチングが出来たので、顔が見える状況で貰われていくと幸せ感が増すことを実感。今年は5月に大学の授業と絡めて、面白い展開を考えているそうです。

nara
以前は大阪・芦原橋にてクリーニングデイを4回開催。昨年、奈良・香芝にお引越しをして、初めてオープンハウスなクリーニングデイを開催された中山さん。まだ仲間のいない土地で家のお披露目会として自宅を開放したいと思い、せっかくならばクリーニングデイにしようと、前の住民であるおばあちゃんの家具のお譲り会、子ども服のフリマ、リノベーションで余ったタイルを貼るWSを12月に実施。フリマよりも、みんなタイル貼りに夢中だったとか。これから特にサステイナブルとこどもをテーマに、アップサイクルに興味のある仲間を地道に集めてやっていきたいとのことです。

saga
最後は、クリーニングデイ佐賀with大字基山の内田さんとCLEANsとして参加された内田のぞみさん(クリーニングデイ史上最年少開催者の基山中学3年生)。昨年は8月から11月に延期となったが、基山町立図書館にて開催。図書館と共催した出入り自由の本の交換会と外の広場で8つの団体さんに出店して貰ってアップサイクル・マーケットを実施した。その中のひとつが、のぞみさんたちCLEANsによる「文房具おゆずり会」。CLEANsは大字基山さんの本の交換会のお手伝いをして、自分も何かやりたいと思ったのぞみさんが友達と2人で発足した。文房具おゆずり会は、要らなくなった文房具を持ってきて貰って(回収ボックスを学校や図書館などに設置)無料で欲しい人に譲り渡していくシステムで昨年は2回開催。後援や広報の依頼、ポスター制作などもできる限り自分たちで行なった。5月の1回目は大人にも手伝って貰いながら、学校の先生方や年配の方々も来てくれて盛況。11月の2回目はおゆずり会と「よなよなあん工房」さんとコラボしてぜんざいを販売した(容器持参で100円引)。面白く貴重な経験となったので、これからは並べ方や事前回収の工夫をして、文房具以外にも広げたり、おゆずり会だけでなく、こども食堂など基山町の人たちが交流できる活動を続けていきたいそうです。

ここからは短い時間でしたが、今後の開催やお悩み、ご提案など。
2年ぶりに開催するクリーニングデイ福岡・古賀さんから3月に神社の講堂にて開催予定の内容など。基山町で開催するきっかけになったのは福岡の活動で、更に今年は基山町の活動をきっかけに佐賀の江北町で開催が予定されていたり、近隣地域で広がってきている。そして古賀さんからナナシノ商店街さんのローカルバックの他地域展開への質問があり、地域を超えてプロダクトを共有してアップサイクルなつながりを広げていく可能性も?
■同時開催時に他の会場の様子、出来ればフィンランドのクリーニングデイの様子も見たい!
:現状、事務局で開催の様子がSNSにアップされている場合は出来るだけシェアをしているが、同じハッシュタグをつけるとか、志向の似ているアプリを活用するなど、他にも何かツールなどがないか要検討。
■大量に集まった本をどうしたらいいか
:フリマに大量に本を持ってきて貰うと、売れなかった分をまた帰って貰うことになるのが申し訳ない。思い入れのある本を出して下さるので、次の人にどう渡っていくかが見えるようなことができないか→本のテーマを絞ると興味がある人がたくさん持って行ってくれるのでは。例えば手作りに関する本をテーマとして、一緒に手作りのWSも実施すると広がりがある。
:本の交換会は1冊持参/持ち帰りを厳守で運営しているが、手元に残った本をクリーニングデイ以外の時に「旅する本の交換会」としてカフェなどに常設させて貰っている(メッセージがついていることを楽しんでくれている)→大量の本には対応できないかもしれないが、常設できる場所と継続的にコラボしていくという手もある。

立ち上げから8年になる今も、SDGsなどで世の中の理解が進んできたとはいえ、やはり「クリーニングデイ」や「アップサイクル」を伝えていく難しさがあるというのを皆さまの声から痛感。しかし同時にちゃんと伝えられれば、ただのフリーマーケットにはおさまらない魅力をわかって貰って協力が得られるというお話もあり、どう伝えていくか、は引き続き課題です。そして、昨年の大会議で報告をいただき、その後様々な会場に波及したクリーニングデイ佐賀の「出入り自由の本の交換会」の新たなネーミングを募集。「メッセージつき」とか「伝わる・共有」がキーワードになるのか、開催者も参加者も楽しさや嬉しさを感じるプログラムだけに、良き名前をつけたいですね!今回の大会議もそれぞれの会場で実施されたアイディアあふれるプログラムが本当に素晴らしく、コロナ禍を感じさせない充実ぶりでした。「他の方の報告を聞いて試してみたいと思いました」とおっしゃる方もいて、また来年の大会議でそんなご報告をいただけると共有する場の意味がありますし、こういう形で共有されたアイディアは減ることはなく、むしろ価値が増していくものだと実感しました。今年の開催を具体的に考えていらっしゃる方も多く、コロナ禍3年目のクリーニングデイはこの2年を払拭するような、勢いがついていく予感がしています。しかし、変わらず「無理なく、楽しく」やっていきましょう!ご報告いただいた各会場主催者の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
8mtg

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